血圧の日内変動。
家庭血圧を朝、寝る前と測定してみると、朝は高めに、寝る前は低めの値になることが多いことに気づかれると思います。
血圧には日内(にちない)リズムがあります。医学的には概日(がいじつ)リズムともいいます。
日内リズムとは約24時間周期で変動する生理現象で、例えば常に暗い状況下にあっても約24時間周期を持続するというものです。しかし最近は24時間ではなく25時間で周期していると考えられています。
朝、太陽の光を見ることにより、目の奥、脳の中の視交叉上核というところで25時間の周期を24時間にリセットしていると考えられています。朝起きて陽の光を浴びることは体内の日内リズムをリセットする意味でも大切なことです。
血圧は朝高く夜低いというリズムがありますが、例えば昼夜の逆転した夜間に仕事をしている人はどうでしょうか?このような人の血圧は夜間の仕事中に高く、昼間寝ているときに低くなります。すなわち血圧の日内変動は主に活動度(動いているか、寝ているか)に大きく依存しています。
ではなぜ朝一番、起きたばかりでまだ活動していない早朝の血圧が高いのでしょうか。
これは自律神経や血圧に影響する各種ホルモンが、目覚める前から徐々に上昇するからと考えられています。
しかし血圧を調節する因子には多くのものがあり、また患者さん個々で要因は様々ですので評価するのは簡単ではありません。
患者さんの家庭血圧値を拝見し、どのような因子が血圧変動に関与しているのかを考えながら診察しています。これは例えば血圧のお薬を選択する際にもとても大切なこととなります。